2023年2月の研究会(オンライン)のお知らせ

日本演劇学会 演劇と教育研究会
2023
2月研究会(オンライン)のお知らせ

日 程:219日(日)午後2時から

テーマ:ドラマの体験を通した大学生の学びとそれを促す要因に関する一考
         「静止画」の活動を例に

報告者:山本直樹(長野県立大学)

主 旨:
 明治期以来、文化・芸術活動の1つである演劇に対して学校教育や社会教育における価値を見出し、演劇を鑑賞する者や創作・発表に参加する者の言語や感性、表現・コミュニケーション等に関する成長を促す取り組みは、先人達が様々な形で試みてきた。そして、その中心は観客のための上演を目的とする教育プログラムであったが、近年では、上演を目的とせず、ワークショップ形式の中で行われる即興的な演技やそれに伴う対話的活動も含めた「ドラマ」と呼ばれる欧米由来の教育プログラムへの関心も高まっており、多様な検討が求められている。
 本研究は、大学における表現演習科目を例に、大学生の即興的な表現体験をねらいとするドラマのプログラムを実施した上で、体験後の振り返り記述に基づき、彼らにとっての学びとそれを促した教材や指導上の工夫等の要因を考察することを目的とする。
 検討するための活動としては、シアターゲームの1つで、自らの身体を静止して、ある瞬間の人物を全身で表現する活動である「静止画」を選ぶ。
 学生の振り返り記述の分析に当たっては、自由記述に含まれる単語を抽出し、その出現状況から傾向を探る計量テキスト分析を選択し、樋口(2020)が開発したソフトウエアKH Coderを活用する。(報告・企画責任者 山本直樹)

■研究会の申し込み方法
参加を希望される方は以下のフォームに必要事項を記入の上お申し込みください。後日、ID/PWまたはURLをご連絡します。
https://forms.gle/b4jgUofCQH94k1rh8

■研究発表&実践報告の募集
 演劇教育に関わる研究成果や実践の報告・発表を募集しています。口頭による報告・発表&質疑、6090分程度。実施に際してはA42,3枚程度のレジュメ、またはパワーポイントの作成をお願いしています。ご希望の方は、E-mailで研究会宛ご連絡をお願いします。運営委員会で確認後、日程等のご相談をさせていただきます。

日本演劇学会分科会 演劇と教育研究会

 

 


2月研究会は、長野県立大学の山本直樹さんのご発表でした。テーマは「ドラマの体験を通した大学生の学びとそれを促す要因に関する一考察」。保育者・幼稚園教諭養成課程の表現演習科目における、「静止画」を用いた実践研究をご報告いただきました。
報告の前半は10人程度のグループ全員でポーズを用いながら、授業者が提示したテーマに沿った静止画作成の様子。後半は体験後の振り返り記述に基づいた学生の学びと、それを促した教材や指導上の工夫等の考察をご報告いただきました。
報告後の議論では、先行研究の定義づけや研究の目的・背景についての質疑応答。実践的な課題としての手法の運用や進行の工夫。研究的な視点としての「問い」とその検証方法などに話題が及びました。
演劇的手法を教育活動に取り入れる際、表現活動を体験する場を提供するだけでいいのか。そこに表現スキルの獲得を目的とするのか。教師やファシリテーターに演劇的素養は必要なのか。古くて新しい難題を改めて確認させていただけた時間でした。今後も研究会の中で山本さんの研究に学ばせていただきたいと思います。皆さまお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございました。(運営委員:高山昇)