2022年2月の研究会(オンライン)のお知らせ

日本演劇学会 演劇と教育研究会
2022年2月研究会(オンライン)のお知らせ

▼日程:2月27日(日) 14時~17時頃
▼会 場:ZOOMによるオンライン実施(申し込み方法は下記)

実践報告
▼報告者:上田真弓(大学非常勤講師 俳優、演出家 ウニココunicoco.org
▼テーマ:授業で「演劇」をおこなうための取り組みについての報告
―特別活動論でおこなっている「なる」ことで考える平和教育の授業実践をとおして―

▼内容:
大学、専門学校で、ドラマ教育の授業実践を試みています。演劇を趣旨とする授業ではなく、演劇を志していない学生と一緒に、社会的な課題について学ぶための手法として取り入れています。
演劇、演劇的な手法は、ただ、お芝居のようなやりとりや身振りを表面的におこなうことではなく、「演劇」であることが肝要だと考えています。それは端的に、自分とは別の誰か(なにか)に「なる」ことです。「なる」というのは、ただセリフを言う、自由に動く、というだけでは成立しません。
沖縄の大学の特別活動論の授業でおこなっている平和教育の授業実践では、1930年に生まれた女性の人生を、任意の年齢ごとに短いシーンで描くことによってたどります。「語りにくい」ことについて、別の誰かに「なる」ことによって、語り合うことをめざしています。他者に「なる」ことによって、他人事を自分ごとにしていく試みでもあります。
そのため、全体の授業の後半でおこなうこの実践においては、学生が「演劇」をおこなうことができるかどうかが肝になります。表現できる環境、表現できる関係を集中講義の限られた時間のなかでつくっていくために、①ドラマの授業のなかでおこなっていること、②その授業以前におこなって(伝えて)いることについて、今回はまとめます。
私は、演劇教育について特に誰かに師事して学んだわけではなく、演劇の分野、演劇教育の分野、教育の分野、からそれぞれ学びながら、手探りで組み合わせて実践をおこなっています。ドラマ教育の実践に向けておこなっている演劇的なアプローチについて、発表することでご検討いただけたら幸いです。
 報告は、コロナ禍以前におこなった実践についてのものですが、時間が許せば、あわせて、③オンラインでドラマの要素をどのように担保するか、について報告できればと思っています。

以下、参考論文と、映像です。目を通しておいていただけると嬉しいです。
臨床教育学研究第7巻(2019年3月31日)「なる」ことで考える平和教育〜シズさんの人生をたどる沖縄戦とその後の暮らし
https://drive.google.com/file/d/1Q-UAEKTa2g3_o4R95FJEfVD2qeIeClYG/view?usp=sharing

平和教育(沖縄戦を考える)について、授業と並行して舞台作品をつくりました。オンラインでの授業ではこの映像(舞台)を学生に視聴してもらっています。音楽と映像とダンスと語りによる演劇作品で、シズさんと同世代の女性のインタビュー、戦争によって土地を奪われた村の話、生き別れを描いた寓話によって構成されています。上記実践は、沖縄戦、平和を語るための教育的アプローチ、演劇作品はクリエイティブ側からのアプローチと位置づけています。
「いき Breath」  
https://www.youtube.com/watch?v=0gzYXVUmd1I&feature=youtu.be&fbclid=IwAR2Kyh4HtRxpPNfogqyHFPCRXGP_jHGTG3PPs9PzLsY-6kmpHmF-Yiyrpjw

■研究会の申し込み方法
参加を希望される方は以下のフォームに必要事項を記入の上お申し込みください。後日、ID/PWまたはURLをご連絡します。
https://forms.gle/b4jgUofCQH94k1rh8

■研究発表&実践報告の募集
日々の研究成果や実践をご報告してくださる方を、募集しています。
口頭によるご報告&質疑、60~90分程度。
実施に際してはA4版2~3枚程度のレジュメ作成をお願いしています。
ご希望の方は、E-mailで研究会宛ご連絡をお願いします。
運営委員会で確認後、日程等のご相談をさせていただきます。

日本演劇学会分科会 演劇と教育研究会


2月の研究会は、上記のように、沖縄の大学・専門学校でドラマ教育の授業実践をされている上田真弓さんの発表でした。ご自身の授業実践の様子を動画で紹介いただき、沖縄という地域の特性と現在の社会状況を意識された、刺激的な発表でした。盛り込まれている要素は、平和教育、市民教育、演劇ないし演ずることを通じて歴史と社会に対する態度が問われる内容のものでしたが、残念ながら、議論の時間が十分とれず、みなさまの声を十分には伺えなかったと思います。また、機会があれば、ぜひご意見・ご感想を伺えればと思います。(企画責任者:中島裕昭)