2020年10月研究会のお知らせ

▼日 時:2020年10月11日(日) 14時~17時頃

▼会 場:ZOOMによるオンライン実施

1.     研究発表

▼報告者:鎌田麻衣子(東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科)

▼テーマ:高校生の「役を演じる」経験による自己認識の変容プロセス

―青年期の自己の〈解体〉と〈再構成〉に着目して―

▼要旨:

高校生というのは、青年期の真っただ中にある。その青年期とは「自分は何者か」というアイデンティティの混乱に直面して始まる。社会で生きていくなかで環境に合わせようとする自己同一化(アイデンティティ)の方向と、それをくずそうとするアイデンティティ混乱との〈葛藤〉である。

現在、我が国の高等学校においては「演劇」の授業が各地で行われている。その授業実践においては、ある戯曲の登場人物(役)を演じる活動が行われることがあるだろう。しかし、役を演じる経験が実際のところ青年期の自己についての葛藤を抱える高校生たちにとってどのような経験となっているのかということについての研究はほとんどなされていない。

 そこで本研究では、高校生の役を演じる経験による生徒の変容プロセスを、自己についての認識に着目して明らかにしたい。高校生が役という虚構の人格に出会い、それを演じることで自己についてどのような認識をし、そして自己を作っていくのか、その詳細に迫りたい。本研究ではこのような問題を明らかにするための研究方法としてエスノグラフィーを採用する。役を演じるという複雑な事象とその課題を行う生徒の経験について、多様性と文脈を尊重しその行為の意味を解釈することで本研究の問いを明らかにしたい。

2.     ディスカッション

▼コロナ禍における演劇教育をめぐって

▼話題提供:高山 昇(桜美林大学、日本大学 他非常勤講師)

▼要旨:

 前回の研究会に引き続き、コロナ禍における演劇教育についてディスカッションを実施します。

 文部科学省の調査(2020.7.1現在)によると、2020年度前期(春学期)に全面的な対面授業を実施した大学は全国で16.2%。つまり新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、全国で83.8%の大学がYouTubeなどを用いたオンデマンド方式、Zoomなどを用いた同時双方向方式、さらには課題研究方式などで遠隔授業を実施したことになる。この状況は一部の大学、または一部の実技・実習系科目を除いて、今年度後期(秋学期)も継続の様相である。

 遠隔授業のスタート時には、「授業ができるのか?」「講座が成立するのか?」と懐疑的な見方が大勢であった。しかし、一部の手抜き授業やいわゆる“らくたん科目”を除き、授業者・学習者ともに、遠隔授業に対しては予想以上の手応えを得ている状況もある。アフターコロナにおいても、現在の遠隔授業を一部継続する方針を打ち出した大学もある。一方で、5月中旬以降にほぼ通常登校を実施している小・中・高等学校の状況を踏まえ、「学生をキャンパスへ」と大学にも通常の授業を求める発信や報道が目に付くようになっている。

 このような状況の中で、演劇教育の現場ではどのような実践が行われ、授業者はどのような手応えを感じ、何を問題視しているのだろうか。また、引き続き実施されている後期(秋学期)の遠隔授業では、どのような取り組みをしようとしているのだろうか。参加者の皆さんとともに多くの情報を共有し、これからの演劇教育についての議論を深めていきたい。

■研究会の申し込み方法

参加を希望される方は以下のフォームに必要事項を記入の上お申し込みください。後日、ID/PWまたはURLをご連絡します。

https://forms.gle/b4jgUofCQH94k1rh8

■研究発表&実践報告の募集

 日々の研究成果や実践をご報告してくださる方を、募集しています。口頭によるご報告&質疑、60~90分程度。実施に際してはA4版2~3枚程度のレジュメ作成をお願いしています。ご希望の方は、E-mailで研究会宛ご連絡をお願いします。運営委員会で確認後、日程等のご相談をさせていただきます。

 なお、2020年内はコロナ禍に鑑み、研究会のオンライン実施を検討しています。ご希望があれば合わせてお知らせください。