2023年6月の研究会(オンライン)のお知らせ

日本演劇学会 演劇と教育研究会
2023年6月研究会(オンライン)のお知らせ

日 程:6月18日(日)午後2時から
テーマ: 演劇教育における学生の位置づけの課題
- 新たなオーディエンス・デザインの可能性について -

発表者: 矢野 郁(愛知淑徳大学)
主 旨:

 学校教育における主体に関する議論は盛んに行われており、学生が一方的な刺激対象ではなく、アクティブな存在として捉えられるようになってきた。さらに、多様化が求められる社会の中で、学校教育においても、一人一人の個性や個人の意見を尊重する教育が求められている。このような背景の中、近年、日本の学校教育に演劇教育がより積極的に取り入れられはじめた。その理由のひとつには、「アクティブな教育」「コミュニケーション教育」という文脈の中で、学修者の能動的な参加を促し、学生の主体性を育てる演劇教育効果が、学校教育の目的と合致することが挙げられる。

 ところが今日に至るまで、演劇において観客は「観る側」、教育において学生は「学ぶ側」という受動的な存在として、潜在的に位置付けられがちである。その一因としては、教師の視点あるいは、学生の視点からも、学生が学修の当事者であるという意識をもつための議論、すなわち、「学生の位置付け」についての議論が不足していることが考えられる。

 これらの根深い思い込みを取り除き、演劇教育における「学生の位置付け」を明確にすることで、主体性を育てる教育において学修者が取り残されることを防ぎ、第三者的な立場のオーディエンスを、当事者として巻き込んでいく能動的な学習の一助になると考える。

 本発表では、演劇教育学の先行研究を中心に、各メソッドの中で観客・学生がどのように位置付けられているかについて調査、考察し、これらの先行研究を踏まえた上で、経験的研究に向けたフレームワークを設定することを目的とする。

■研究会の申し込み方法
参加を希望される方は以下のフォームに必要事項を記入の上お申し込みください。後日、ID/PWまたはURLをご連絡します。
https://forms.gle/b4jgUofCQH94k1rh8

■研究発表&実践報告の募集
演劇教育に関わる研究成果や実践の報告・発表を募集しています。口頭による報告・発表&質疑、60~90分程度。実施に際してはA4版2,3枚程度のレジュメ、またはパワーポイントの作成をお願いしています。ご希望の方は、E-mailで研究会宛ご連絡をお願いします。運営委員会で確認後、日程等のご相談をさせていただきます。

日本演劇学会分科会 演劇と教育研究会


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6月研究会は「演劇教育における学生の位置づけの課題-新たなオーディエンス・デザインの可能性について-」矢野郁さんのご発表と討議・議論が行われました。演劇教育の効果を用いて、学校教育における学修者の存在を従来の“受動的な観客”から能動的な参加ができる“主体的な観客”に変容させるようとする、研究の一端を発表していただきました。

 発表に続く討議・議論では、研究の目的や演劇教育の位置づけ、研究が目指す理想的な学修活動などにも質問がおよび、活発な意見交換が行われました。ご参加いただいた皆さま、お忙しい中ありがとうございました。(運営委員:高山昇)

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