学校教育とドラマセラピーをめぐる開発的研究の可能性について(松尾忠雄)

松尾忠雄


「学校教育とドラマ・セラピーをめぐる開発的研究の可能性」につき、以下のような方向で考えて行ってはと、目下考えておりますが、先賢各位のご意見を賜ることが出来れば幸せです。

・ 幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教師になろうとする学生は――
 例えば、殺人唐の犯罪を犯した少年たちが、悪いことをしてしまったという罪の意識を持てない人間として育ってしまっている。TVゲームならば、すぐリ セット出来るので殺人の傷みなど思いつかない人間として育ってしまっている。そういう現実、つまりそういう時代が現代。時代が急速に変化していく今,その 時代その時代の子どもたちの姿を的確に捉えることの出来る資質・必要性が、教師になろうとしている人たちにはある。
 そして、それに対応できる方法、その一つがアートセラピー、ドラマセラピーであることを知っておく必要がある。アートセラピー、ドラマセラピーとは何であるか、どのようにするのか(方法)を知っておく必要がある。
 例え、教育の現場で、重要な、つまり深刻なケースは、専門化であるセラピストに委託するにせよ……。

・ 現在、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教師である人達は――
 現在の危機的状況におかれている子どもたちに、たとえばアートセラピー、ドラマセラピーが有効適切な人間性回復の教育の方法であることわ、そして、アートセラピー、ドラマセラピーとは如何なるものであるか、その具体的な方法はどんなものであるかを知っておく必要がある。
 そこで、

・A 大学の教職課程には、
 本学の例であるが、大差はあるまいから、現在は、教職に関する科目の中から、関連しそうな科目を拾い出してみると、

 教育心理学・(2単位、前期)、教育心理学・(2単位、後期)
 臨床心理学・(2単位、前期)、臨床心理学・(2単位、後期)

があり、選択必修になっている。但しそれぞれ2単位は絶対必修になっている。これを
 ――
・各アートセラピー、ドラマセラピーを理解し実践し得るために必要な、心理学や医学等の学問、さらに隣接諸科学等を必修科目或は選択必修科目とする。
・セラピストとしての教育実習も、教職のために必要単位とする。

・B 現在、教師である人達のためには、
 全国各都道府県で、「アートセラピー、ドラマセラピー」等の履修講座を、夏季休暇中等に開催し、希望各教員に履修させ、履修単位が規定の単位数に達すれば、単位履修証を各都道府県の教育委員会から与える。その履修証が何らかの(目下考慮中)資格になるような措置をとる。

・C 大学の教職課程の中に,専門のセラピスト養成のコースを設置する。
 このコースを修了した学生の働く場所を学校教育の中に確保するために、学校教育法、及び関連法規にまで反映させる。具体的に言えば、例えば、学校教育法 第28条[職員](小学校)、第40条[準用規定](中学校)、第50条[職員](高等学校)に、現在は、以下のようになっている。(小学校の例に留める)

[職員]
第28条 小学校には、校長,教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。(以下略)
ここに、新たに、「セラピスト、心理士を置くことができる」ということばを付け加える。
 そして、第28条の2以下には、例えば、7の後に、現行の、
6 教諭は、児童の教育をつかさどる。 7 養護教諭は、児童の擁護をつかさどる。
この後に新たに、
セラピスト、心理士は、児童の心の養護教育をつかさどる。
と付け加える。8以下は省略。

 「心の養護教育」とは、法律になじまないことばなので、私自身、首を捻っています。そして、今、重点的に考えなければならないのは、「セラピー、セラピストが何か。なぜ必要か。方法論は?」であろうと思います。
 ともあれ、みんなでつくりあげたいものです! ご意見、ご感想をお待ちしています。

(まつお・ただお 甲南女子大学)